医食同源を楽しむ〜共食共笑と口福の日々雑感〜 (1)

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口福とは、美味しいものを食べたときに得られる、口の中が幸せで満たされる感覚や、食事に恵まれている幸運を指す言葉です。ただ美味しいだけでなく、新鮮な驚きや深い満足感を得たときに使われます。日々の食事にありつけることにもですが、食材やお料理を作ってくれた人への感謝の気持ちも込めた「いただきます、ごちそうさまでした」の挨拶にも通じるものを感じます。

この連載では、食に関して日々興味を感じたエピソードを徒然なるままにご紹介していこうと思います。どのコラムも後から中身をアップデートしたり、ご家庭で挑戦可能なレシピを季節ごとに追加でご紹介したりするかもしれません。直接健幸に関わらないような呟きもあるかもしれませんが、どうぞ気楽にお読みいただければ幸いです。

監修:北野 克宣(医療法人 菅井内科 理事長・院長)
日本料理コメント:大下 光 氏(お料理 良福 店主)

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第1回「豆腐百珍ってなに!?」

 この珍しい名前の本の存在を知ったのは、本連載への日本料理コメントをお願いしているお料理 良福さんのご店主との会話の中でした。豆腐百珍は天明2年(1782年)に発刊され、大ベストセラーになった江戸時代のレシピ本で、その名の通りなんと豆腐料理だけを100品目、6段階に分けて紹介するという斬新さで当時大ベストセラーになったそうです。ご店主は、その中から茶懐石にもあう豆腐料理をいくつか見繕って再現してみたそうです。実はこの本のレシピには材料名はあるものの、それぞれの分量や詳しい調理法は書かれておらず、現代人の口にも合うようにアレンジしながら試行錯誤で取り組まれたそうです。なんだか壮大なロマンを感じませんか?今度ぜひ、私も食べてみたいと思います!

豆腐百珍(とうふひゃくちん)は、天明2年(1782年)5月に出版された料理本。100種の豆腐料理の調理方法を解説している。当時の出版本としては大ヒットとなった。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』2026.4.13.)

 日本料理 店主より一言

豆腐百珍の中から、手軽に作れる2品を再現しながら少しアレンジしたレシピをご紹介します。

砕き豆腐  
類似する料理で、雷豆腐というのがあります。しっかり水気をとった木綿豆腐を油をひいた鍋で炒めます。炒めている時にでる音が雷の音に近い事から雷豆腐と言うようになりました。

雷豆腐と砕き豆腐は、中にいれる材料に違いがありますが作り方は一緒です。現代の煎り豆腐の原形とも言われています。

砕き豆腐(くだきどうふ)

 材料(目安)
・木綿豆腐…2丁
・小松菜…2束
・ごま油…適量
・薄口醤油…適量
・砂糖…適量
・煎り胡麻…適量

 作り方
① 木綿豆腐は重石などして水気を取り、水気が取れたら、掴み崩しておく。小松菜はなるべく細かく小口切りにする。
② 熱した鍋にごま油をひき、温める。ごま油が温まったら、①を入れ強火で炒る。薄口醤油、砂糖で味を整え仕上げに煎り胡麻を振って完成。

ふはふは豆腐(ふわふわ豆腐)  
同じく江戸時代の人気料理で、「ふわふわ玉子煮」というのがあります。それの廉価版と言えますか、倹約版です。
江戸時代、玉子は超高級品でなかなか食べられる物ではなかったそうです。ふわふわ玉子煮は、鍋に吸出しを沸かし、溶き卵を流し入れ、玉子が固まったら出来上がりという料理です。ふわふわ豆腐は、玉子と同量の豆腐をよく摺りまぜ、鍋に吸出しを沸かし、静かに流し入れ、固まったら出来上がりで、ふわふわ玉子煮とほぼ同じです。
当時のレシピにも「倹約するならばもっぱらこれをするべし」と書いてあるほどです。この「倹約」=安く済ますならという意味がありますが、もう1つ現代解釈するなら、"健康を気にしたい人"、ともとれると思います。

ふはふは豆腐(ふわふわ豆腐)

 材料(目安)
・絹ごし豆腐 150g
・玉子 150g
・青葱 1/3束
・吸い出汁 360cc
・とろろ芋 30g
吸い出汁(割合)
・かつお出汁 320cc
・薄口醤油 20cc
・酒 20cc

 作り方
① 絹ごし豆腐はペースト状になるまでよく摺りまぜる。ペースト状になったら、玉子を入れ、さらにとろろ芋を加えてよく混ぜ合わせる。
② 鍋に分量の吸い出汁を合わせて沸かす。沸いたら①をそっと流し入れて蓋をし、2分程煮て火を止め、刻んだ青葱をちらして完成。

 医食同源メモ 
 豆腐は代表的な植物性タンパク質であり、腸内環境を整えてくれる高発酵性の水溶性食物繊維を豊富に含んでいます。2025年6月に京丹後市で開催された第1回世界長寿サミットで採択されたサミット宣言では、健康長寿の秘訣の一つとして大豆などの食物繊維をたっぷり摂ることが挙げられました(サミットの市民公開講座の公式動画はこちら。再生開始55分目くらいからようやく基調講演が始まります)。京丹後市の人口10万人あたりの百寿者割合は、全国平均の2.8倍と信じられないほど高いことが知られており、この謎を解明すべく2017年から同市と京都府立医科大学との共同研究(京丹後長寿コホート研究)は今なお継続中です。サミット終了後に開催されたメディア向け勉強会の記事が非常によくまとめられておりましたので、こちら(一般社団法人ウェルネス総合研究所;PR TIMES)に引用させていただきます。

一般社団法人ウェルネス総合研究所のプレスリリース(2025年7月18日 11時00分)【セミナーレポート】「世界長寿サミット」が示す、未来の健康長寿を支える新たな可能性と…