見過ごされがちな“眠りの病”――睡眠の質は、仕事の質

「しっかり寝ているはずなのに、日中の眠気が取れない」「集中力が続かない」「簡単なミスが増えたような気がする」「朝から頭が重い」――あなたの会社にそんな悩みを抱えている従業員はいませんか?

実はそれ、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)が原因かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群とは?

SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。主にいびきや無呼吸、浅い眠りが繰り返されることで、慢性的な睡眠不足や日中の眠気、集中力の低下、さらには高血圧や心疾患のリスクを引き起こします。

この病気は、本人が気づきにくいことが最大の問題点です。自覚がないまま業務に支障をきたし、重大な事故やトラブルを招くこともあります。

なぜ企業が取り組むべきなのか?

健康経営とは、従業員の健康を経営的視点から考え、戦略的に改善していく取り組みです。その中でSASは、まだ十分に認識されていないリスク要因の一つです。

たとえば、以下のような影響が企業に及びます:

  • 生産性の低下:眠気によるミスや集中力の欠如が業務効率を下げます
  • 労災リスクの増大:運転業務や機械作業において、重大事故の原因になることも
  • メンタルヘルスへの影響:睡眠の質が著しく低下すると、脳の回復や情緒の安定が妨げられます。またSASとうつ病は双方向に関連しているとされ、片方を患うともう一方のリスクも高まるという研究結果もあります。※1)
  • 職場の人間関係悪化:睡眠不足は、イライラしやすくなったり、人への思いやりが減ってしまったりするという研究結果も※2)
  • 医療費や休職の増加:SASは生活習慣病の原因や悪化要因となるため、高血圧・心疾患・糖尿病などにより、健康保険コストの上昇や長期欠勤が発生
  • 最悪の結果:動脈硬化や脳卒中、心不全など命にかかわる病気を引き起こし、突然死のリスクを高める可能性

つまり、SASは“個人の健康問題”ではなく、“企業の経営課題”なのです。

睡眠検査は自宅で気軽に

SASのスクリーニング検査は、昨今自宅で気軽にできるようになっています。特に中高年以降、体力や代謝の変化とともにSASのリスクは高まります。肥満、飲酒習慣、あごの形などが影響し、実は40代以上の男性の約3〜4人に1人が潜在的にSAS予備軍※3)とも言われています。つまり、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、一度チェックする価値があるのです。

菅井内科でも睡眠簡易検査を実施しており、その後の治療まで対応できますので、健康診断とあわせて導入したり、産業医や保健師との連携で早期発見を促す体制をつくることもご検討ください。
睡眠検査をご検討の方はこちらからお問い合わせください。個人でも企業単位でも実施可能です。

簡易検査は自宅で2晩、
機器を装着して眠るだけ

また、生活習慣の改善支援(禁煙、減量、運動習慣の促進などもSASの予防に効果的。健康経営の一環としてこうした取り組みを盛り込むことで、社員の“見えない不調”を未然に防ぐことができます。


眠りの質を、企業の質に。

定期の健康診断と合わせて、睡眠の質に目を向けること。働き手不足の中、企業が取り組むべきこれからの健康経営に「睡眠」は欠かせないキーワードになってきます。SAS対策は、従業員一人ひとりのパフォーマンス向上だけでなく、安全・安心な職場環境づくりにもつながり、企業価値を高めることも間違いないでしょう。

「社員がよく眠れる会社は、よく伸びる会社」――健康経営の次なる一歩として、“眠りの質、向上”を企業課題に取り入れてみませんか?

★睡眠をもっと理解するためのお勧めの資料・書籍

『健康づくりのための睡眠ガイド2023』(厚生労働省)
・「マンガでぐっすり!スタンフォード式 最高の睡眠」(西野精治、サンマーク出版)

※1) SAS患者の21〜41%にうつ症状が見られたと報告。 (Peppard PE et al. 2006, " American Journal of Epidemiology" ) 
※2) 睡眠不足の被験者は、他人の感情(特に悲しみや怒り)を正しく読み取る力が低下した。(Guadagni et al. 2014, "Sleep deprivation impairs the recognition of emotions", Journal of Sleep Research )
※3) 2026年1月時点、JRS・厚労省推計より
参考:北野Dr.健康コラム2024年8月号「睡眠と健康長寿」