伊賀瀬先生の百歳時代の健康手帖 ①

第1回 終末糖化産物(AGEs)について

文 | 伊賀瀬 道也 医師
愛媛大学医学部付属病院抗加齢・予防医療センター長
菅井内科特別顧問

昨今、健康(老化)の話題で終末糖化産物(AGEs)が取り上げられる機会が増えてきました。

終末糖化産物 AGEsとは

終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End Products)とは、ご飯を炊く時やパンケーキを焼くときなどにできる「お焦げ」(メイラード反応)で連想される成分ですが、同じ現象が私たちの体内でも起きていてこれは老化と非常に関連が深いものです。

「体のお焦げ」AGEsは体内では血液中を流れている糖(グルコース)が身体の組織を作るタンパク質にくっついて離れなくなることで、身体の組織が徐々に「コゲて」いき「老化を進めていく」物質の総称です。この反応は長期間かけて進行し、一度できたAGEsは分解されにくく、体に蓄積しやすい性質があるため老化をすすめる原因の一つと考えられています。

簡易的にAGEsを測定する装置であるAGEs readerがオランダで発明されたことから、AGEs研究の進歩のスピードは非常に速くなり、英語の論文も2014年ごろから飛躍的に増え、2026年現在ですでに世界で400本以上発表されどんどん知見がアップデートされています。

食後の血糖とAGEs

最近の研究からAGEsのできやすい時間帯があることがわかってきました。それは「食後」でとくに食後30分程度の血糖値が急激に上昇する時間帯には血液中の糖(グルコース)に、熱や紫外線が加わると、配列が崩れて「アルデヒド」という物質をつくる「アルデヒドスパーク」という現象がおこりやすくなります。これが身体の蛋白質とくっついて最終的にAGEsになっていきます。糖の中でも果糖(フルクトース)はこの作用が通常のグルコースの10倍以上あるともいわれています。「果物も摂りすぎに注意しましょう」といわれる理由の一つはこのAGEsができやすいという特徴があります。

お酒や脂質にも目を向けて

さらに最近ではAGEsをつくるのは「糖だけではない」という事実もわかっています。とくに皆さんに知っていただきたい代表的な食品が「お酒」と「脂質」です。

お酒を飲むと肝臓ではエタノールからアセトアルデヒドという身体には毒性のある物質を作りますが、お酒を分解する酵素のひとつアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)が働いて無毒の酢酸に分解してくれます。日本人の半数はこの酵素が少ないためアセトアルデヒドが蓄積しやすく二日酔いになりやすいとされています。先ほどと同じ理屈で「アルデヒド」が急激に増えると自然にAGEsも増えやすくなるわけです。

また「脂質」の分解される過程(酸化)で過酸化脂質がつくられるのですが、この過程もAGEsを作りやすい「アルデヒド」が生まれることが明らかになってきておりAGEsとよく似たALEs(advanced lipoxidation end-products)という物質が作られます。ですから「糖の摂りすぎ」だけではなく「アルコールの摂りすぎ」「脂質の摂りすぎ」にも注意しましょうということになります。

規則正しい日常生活を

その他にも紫外線、たばこの煙、不眠や過度なストレスなども最終的にAGEsを増やす生活になります。「規則正しい日常生活を心がけましょう」という言葉の裏にはこのような科学的なエビデンスもあるようですよ。

菅井内科でのAGEs測定

菅井内科ではAGEsを簡単に測定できるAGE reader mu®が稼働しています。ご興味のある方はお気軽に問い合わせてみてくださいね。

WRITTEN BY ────────────

伊賀瀬 道也 医師

愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センター(センター長)        
愛媛大学大学院医学系研究科看護学専攻 特任教授
医療法人菅井内科特別顧問

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